それから、再婚の話をしたあの日ぶりに、4人でひとつの食卓を囲んだ。
夕飯は、鈴子さんが作ってくれたカレーライス。
「いただきます」
大きめに切られた野菜と、私が作るものよりもちょっぴり辛い味付け。
全てが、せっかく止まった涙を誘った。
泣き腫らした目に、また涙が浮かぶ。
鼻のてっぺんが赤くなって、慌てて鼻をすすって、目をこすった。
前よりも、楽しい食事だった。
笑顔が絶えなくて、孤独感も疎外感も感じなくて。
少し、くすぐったい気持ちになる。
あのね、聞いてほしいことがあるんだ。
私はカレーライスを、一口食べてから。
ゆっくりと、深呼吸をする。
苦しくて仕方なかった心は、本音を思い切りぶちまけたからか、とても軽く感じた。
今まで背負っていた過去も悲しみも消え去ったのに、何か物足りないと思ってしまう。
その理由は、考えなくてもわかった。



