さらに涙が溢れてきた。
止められなくて。
鼻水まで出てきちゃって。
どうしよう、拭いきれないよ。
「鈴子さんは、毎日お前の分のご飯を作ってくれていたんだぞ」
「え?」
そう言ったお父さんは、鈴子さんを見つめながら微笑んだ。
あ、と前に荷物を取りに来た時のことを思い出す。
そういえば、ダイニングテーブルに、量の多い料理が並べられていた。
全部、お父さんの分だと思っていたけれど。
お父さんと、私の分だったんだ。
私は、何も見えていなかった。
すぐ近くに、私の心を照らしてくれる“光”があったのに。
私の存在を、どうでもいいなんて思ってる人は、いなかった。
私が、過去の闇の中で、閉じこもっていただけ。



