私が、全てを壊してしまったから。


家族を悲しませて、人生を潰して、幸せが泡となって。


お母さんのように、お父さんも私を恨んでいると思っていた。



だから、私を怒らなくなって、お互いに何も知ろうとしなくなって。


見た目は“二人暮らしの家族”だったけど、まるで他人みたいだった。


叩けば崩れてしまうくらい、脆い“家族”だった。



頭ごなしに責められるより、憎まれるより、ずっと苦しかった。



「病院でも、そう言っていたな」



ポツリと呟いたお父さん。



「羽留、それは違うぞ。そんなことを思ったことは、一度もない」


「だって、再婚のことだって、私には事後報告だったし」


「それは、本当に羽留なら大丈夫だと、思ったんだ」



また、それ?


薄っぺらい信用なんて、嬉しくないよ。



「最初は不安だったけど、羽留なら笑顔で祝福してくれるって信じてたんだ。それに……」


「それに、なに?」


「母親ができれば、羽留が家事に追われることも、羽留の寂しさも、少しはなくなると思ったんだ。だから、できるだけ早く結婚をしようと、鈴子さんと話していたんだ」



お父さんは真剣な顔で、私を真っ直ぐ見つめた。