危険地帯





「電話をして何て言えばいいのか、メールに何て打てばいいのか、わからなかった」



高ぶっていた感情が、静まっていく。


燃え上がった炎が消されていくみたいに。



「どれも、羽留には言い訳のように思われてしまう気がして」



……それで、よかったんだよ。


言い訳でもなんでも、連絡が欲しかった。


それだけで、寂しい気持ちを埋められた。



「でも、やっぱり羽留のことが心配だった」



苦しげに目を細めたお父さんは、グッと拳を握り締めた。



「だから、仕事を早目に終えられた日は、探しに行っていたんだ。今日だって、博くんのところにいないかと思って……」



よく見れば、お父さんの額には汗が流れていた。


それほど、必死に探してくれていたんだ。



「お母さんと、同じじゃないの?私のこと、どうでもいいって思ってるんじゃないの?」