マンションの6階にある家に着いた。
お父さんはリビングに行くと、そこでようやく私から手を放した。
私の腕には、痕が残っていた。
それくらい、強く掴まれていたんだ。
「どういうつもり!?」
無理やり私を連れて、何が目的なの?
こんな乱暴なことされて、私が怒らないとでも思った?
「どうして、私を家に連れ戻したりしたの?」
私が尋ねても、お父さんは黙ったままだった。
私のことが邪魔なら、放っておけばいいじゃん。
今までみたいに。
「心配、だったんだ」
長くて静かな沈黙の後、ついにお父さんは口を開いた。
なに、言ってるの?



