深月の言葉に、全員の視線が忍者に向けられる。


忍者に私のフルネームを知られたくせに、私は忍者の名前を知らない。


“忍者”は通り名だし。



「じゃあ、ついでに自己紹介してくれ」



司が、カフェオレを飲みながら、棒読みで忍者に言った。


多分、司は暇つぶしで聞いてあげようと思ったんだろうなぁ。



「そんなに気になるんだったら、教えてやってもいいけど?」



でも、忍者は司のどうでもよさそうな様子に気づいていないのか、なぜか上から目線でそう言った。


ハーフアップのヘアスタイルを整えた忍者は、仁王立ちをする。




「俺の名前は、忍海 千歳【オシミ チトセ】。副総長の司と同じ学校に通ってる、高校3年だ。どんなクスリでも作れる天才!通り名は、知っての通り“忍者”で、いろんな情報を……」


「あ、もういい」


「えっ!?」




忍者、もとい、忍海さんがノリノリで自己紹介をしているところをぶった切ったのは、退屈そうに欠伸をする深月。