傷を負って、何かを壊して、誰かを苦しめる喧嘩が、幼い頃から大嫌いだった。
けれど、もし、その喧嘩が新たな道を切り拓く方法だとしたら。
見ていた真っ黒な世界も、色を変わるのではないだろうか。
喧嘩をするのは、意味も価値もないと思っていた。
確かに、そういう喧嘩もあるだろう。
でも、喧嘩を楽しんでいた深月が気づいたのは、それとは違う闘い方。
闇の世界で誰かを傷つけて、悲しんで、何かを犠牲にして。
それでも、何かのために、誰かのために、拳を交えれば。
きっと、自分の思いも相手の思いも、傷の痛みすらも、わかり合える。
その喧嘩は意味のあるものに、価値のあるものになる。
喧嘩は、闘いは、遊びでもストレス発散法でもない。
守るだけじゃなく、許し合うために。
拳に強い意思を込めて、振るうんだ。



