黒龍らしくない言葉に、私は目を丸くした。
助ける?
何を言ってるの?
理解できていない脳とは正反対に、じわじわと涙が溢れた。
「羽留、俺達はな」
片膝をついた深月は、凛とした表情をしていた。
胸の奥が、トクン……と高鳴った。
「お前のためなら、大嫌いな正義のヒーローにだってなってやる」
忍者が仕掛けたこの闘いは、ずっと正義を否定して蔑んできた黒龍が、初めて誰かのために立ち向かおうとした闘いだった。
皆が私のことをこんなにも大事にしてくれているなんて、知らなかった。
黒龍が掲げている信念は、変わっていないと思っていた。
でも、それは勘違いで。
皆は心の底から、私を想ってくれていた。
固い信念を捻じ曲げてしまうほど。



