ダメ、だよ。
復讐も、そのための喧嘩も。
また傷つくだけ。
「やめて!闘わないで!」
気づいたら、そう叫んでいた。
私の声に、三人は振るおうとした拳を止める。
「喧嘩しちゃダメ!」
喧嘩が、いい方向に持っていくことはない。
暴力は、何かを壊すだけ壊して、運命を狂わしてしまう。
そんなの、もう嫌なの。
「何言ってんだよ、羽留!」
「おーっと、この女に近づかないでくれる?」
深月が私に一歩近づくと、忍者は私の首に回っていた腕を放し、代わりに私の首にナイフを向けた。
ナイフの先端は、あと数ミリで私の首元に触れる。
そんな緊張感が、私の心臓を大きく揺らした。



