でも、アイツは、


私には優しいけど、時々怖くて。



誰かを軽々と傷つけて、私のことだけを大切に守ってくれる。



だから、ここから離れなければいけないんだ。


黒龍の人達をアイツが傷つけてしまう、その前に。


私の身の安全が危なくなってしまう、その前に。



私が眠ってしまえば、アイツは顔を出さないから。


だから、お願い。家に帰らせて。




私のそんな淡い願いは儚く消えて、真夜中零時の鐘が鳴り響いた――。