深月も司も律も、誰も、ここには来ない。
彼らは、この世の中を平和にしたいわけじゃない。
些細な争いごとを好む人間だ。
正義も、ヒーローも、嫌っている。
そんな彼らが、私を助けるためだけに、こんなところに来たりしない。
たとえ、少し認められても、頼ってもいいと言われても、彼らに近づけたと思っても。
彼らと私の関係が変わっても。
“黒龍”が変わることには、ならない。
私が助けを求めたって、彼らは現れない。
それに、元はといえば、私が一人でも大丈夫だと思ってしまったせい。
落とし前は、私一人でつける。
期待なんかしない。
嫌な予感が消えたわけじゃない。
助けて、なんて言わない。



