――遡ること、約2時間前。


時刻は、9時半。



夢の世界から現実に連れ戻したのは、携帯の着信音だった。


プルルルル、と携帯が音を出す機会は、あまりない。


だからだろう。


1コール目で、私が起きたのは。



「……ん」



枕元に置いていた携帯が、振動していることに気づき、すぐに携帯を手に取る。


お父さんから……!?


淡い期待は、携帯の画面を見た瞬間に、儚く消えた。



「非通知?」



胸騒ぎがする。


少しの間、電話に出るか出ないか悩んでいたが、いつまで経っても切れないので、出ることにした。




『もしもし、忍者でーす』




耳にあてた携帯の奥から聞こえてきたのは、忍者の声だった。