唇を噛む私を見て、ニヤリと笑ったのは律。
「ずーっとあんたの携帯を持ってたけど、連絡一つもないよ?」
律はポケットから私の携帯を出した。
律が私の携帯を持っていたんだ。
てっきり、あの路地裏に放置されたままだとばかり思っていた。
「実は、独りぼっちだったりして」
「違う!!」
律の言葉にカッとなって、私は自分の携帯を律の手から取り返すと、つい大声を出してしまった。
「なんだ、そんな声も出せるんじゃねぇか」
司が、深月が座っているソファと、テーブルを挟んで向かい合わせに配置されているソファに座って、頬杖をつきながらポツリと呟いた。
「私は、独りなんかじゃない」
家族が私をどうでもいいと思っていても、私のことなんて無関心でも。
私にはアイツがいる。
だから、独りじゃない。



