危険地帯




仕事だもん。仕方ない。


わがままだって、わかってる。


……でも。



『羽留、わがまま言わないの』


『今日は無理でも、明日三人で祝おう。それでいいだろ?』


『今日がいい!』



でもさ。


今日は、私の誕生日なんだよ?


今日くらい、わがまま言ってもいいでしょ?



私はジタバタと手足を大きく振って、小さい体で必死に抵抗していた。


お母さんとお父さんは、どうしようかと顔を見合わせて、眉を下げる。



『お母さんね、今日の仕事はどうしても休めないの。だから、わかって?』


『いーやーだー!!』



泣けば、叫べば、このわがままを通せると思っていた。


願えばなんでも叶うと、思い込んでいた。



なんて、幼稚で無知な間違いだろう。