あれは、小学校に入る少し前。
私の誕生日、2月18日。
その日、私の幸せは崩れ去る――。
私は、お父さんとお母さんと三人で暮らしていた。
お母さんは有名なバイオリニストで。
お父さんはどこにでもいる、出張の多いサラリーマン。
そんな二人の間に生まれた、私。
毎日、笑顔が絶えなかった。
けれど、私の誕生日だったその日は、ちょっと違っていて。
朝食を食べていた私は、表情から笑顔が消えていた。
『え!?お母さん、今日一緒にお祝いしてくれないの?』
原因は、私の誕生日だというのに、お母さんが午後から夜中まで仕事だからだ。
夜に三人でケーキを食べて、プレゼントをもらって。
楽しいパーティーになる予定だった。
『ごめんね、羽留』
『やだやだ!お母さんも一緒じゃなきゃやだ!!』
駄々をこねる私に、お母さんとお父さんは困っていた。



