誰かを信じることって、難しい。


だけど、一度信じられたのなら、信じてみたいと思ったのなら。


それはもう、過去から解き放たれ、一歩踏み出した証。



大丈夫だよ、深月。


私も律も司も、あなたの味方だよ。


これから先、何があっても。



「ありがとな」



そう言った深月は、照れ隠しのつもりなのか、抱きしめる力を強めた。


ドキドキと、深月の鼓動が聞こえてくる。


深月にも、聞こえてるのかな。


私の、胸の高鳴りが。



深月は私の耳元に口を寄せて、透き通るような声で囁いた。



直後、私から離れた深月は、頬をほんのりと赤らめながら、頬を膨らませている律と言い争いを始めてしまった。


私と司は顔を見合わせて、暗い過去を断ち切るように、笑い合った。



私の耳の奥では、さっき深月が私に言ってくれた声が繰り返し再生されていた。




『――お前のことも、信じてやる』