小さく息を吐いた深月は、口を開いた。
「俺と司は、昔からの付き合いでさ。家が近いし親も仲いいし、まあ、いわゆる幼なじみってやつだな」
深月の昔話の始まりは、そんな言葉で。
二人の幼い姿が頭に浮かんだ。
「ガキの頃はやんちゃだったのは認めるけど、結構フツーだったんだぜ?全然、今の面影もないくらいに」
深月の声が、少しだけ低くなる。
深月は閉じていた目を開けて司の方を見ると、フッと影を帯びた笑みを浮かべた。
「そんな俺と、真面目で優しい司が初めて同じクラスになった中一の時、俺達は“正義”を捨てたんだ」
どうして、と聞こうとした声を呑み込む。
深月は、『黙って聞いてろよ』と言ったんだ。
ここで私が口を出したらダメだ。
ちゃんと聞かなくちゃ。
正義を捨てた理由を、深月と司の過去を。



