「あ、さっき振り」
「っ!」
私と目が合った忍者が、そう言って手を振ってきた。
やっぱり、繁華街でぶつかった人と同じ人だったんだ。
それに――。
「……どういうことだ」
「偶然、繁華街で会っただけさ」
私と忍者が知り合いということに眉をひそめた司に、忍者は淡々と話す。
疑い深い司は私に「本当か?」と確認してきたので、私は小さく頷いた。
「あの」
「ん?」
私が忍者に声をかけると、忍者はここが黒龍のたまり場で、しかも幹部以上しか入れない地下だというのに、不敵な笑みを浮かべた。
「私が倒れたあの日、あなたも十番の倉庫にいましたよね?」



