深月でも、律でも、司でもないその声の主は、



「バレちゃったか」



と、困り顔で言いながら、扉の奥から出てきた。


私は、その人のことを、知っていた。



「てめぇ、何しに来た」



目を鋭くさせた深月が、寝室から出てきた人物に近づく。




「――忍者」




え……?


この人が、忍者?


黒龍と出会ったあの日に、黒龍に傷つけられていた、あの人?



「何しにって、情報を集めに来たに決まってんじゃん」



栗色の髪をハーフアップにしている忍者は、深月をバカにするような言い方をした。


深月はイラついたのか、表情を歪ませた。