深月と律の楽しげな声をBGMに、ページをめくる。


司に借りた本は、サスペンスものだった。


もうすぐで犯人の動機がわかる、というところで。



「あれ~?」



私のページをめくる手が、止められた。


律の、何かを察知して、呟いた声によって。



「どうして」


「……律?」


「こんなところに、いるのかなあ?」



ニヤリと笑みをこぼした律は、持っていたダーツの矢を、ダーツのボードではなく、寝室の扉に向けて投げた。


どこに投げて……!?



「うわっ!?」



疑問に思ったのは、ほんの一瞬。


少し開かれた寝室の扉の方から、誰かの声が聞こえてきた。