危険地帯




さっきまで家族のことで悩んでいたことが嘘みたいに、いろんな感情が入り混じっていた心は楽になっていた。



「雫さん」


「なに?」


「あの後、黒龍と神雷はどうなったんですか?」



私が倒れた、その後。


二つの族の対立はどうなったのか、気になっていた。


でも、三人には聞けなかった。


三人は、「神雷」という言葉を耳にしたくないだろうから。



「何も、なかったわ」


「何も……?」


「再び喧嘩することなく、倉庫を去ったの。羽留ちゃんを巻き込んでしまったことで、闘争心がなくなったんだと思うわ」



雫さんは、険しい顔つきでそう話した。


私は、黒龍と神雷の関係をさらに悪くしてしまったのかな?


喧嘩を止められたけれど、素直に喜べなかった。