人気のない大通りを通って、今日も栄えている繁華街を抜けて。
街外れにある、廃ビルにたどり着いた。
廃ビルの見張りをしていた黒龍の人に、たたんだ傘を渡した深月は、地下に続く階段を一段下りた。
「どうした?」
階段の前で立ち止まった私を不思議に思った深月が、振り返って尋ねる。
私が再び黒龍のたまり場に戻ってきたことを、律や司はどう思うんだろう。
怖いわけじゃない。
少し、不安なだけ。
「……なんでもない。行こう」
二人は、私のわがままを受け入れてくれるだろうか。
私の迷惑を、笑って抱き留めてくれるだろうか。
優しい人達だからこそ、不安になる。
これからは、監獄だと思っていた今までとは違う。
新しい日々に塗り替えられる。
そこに、私もいていいですか?



