危険地帯




倉庫の壁に背中をぶつけた深月。


すると、深月は近くに鉄パイプが落ちていることに気づいて、それを手に取った。



……このままじゃ、ダメだ。



私の中の何かが、叫ぶ。


深月を止めろ、と。



「止めなくちゃ」


「羽留……?おい、待て!」



走り出した私を止めようとする司を無視して、足を動かし続けた。



そこで荒れ狂ってしまったら、深月の中にある優しさが消えてしまう。


理由なんてわからない。


だけど、そう思ったんだ。



消えてしまわないで。


せっかく見つけた優しさを、純粋な気持ちを、なくさないで。


お願いだから、もう、やめてよ。