危険地帯




深月の方を見ると、深月は振りかざしていた拳を下ろして、揺らぐ瞳で神雷の総長を突き刺していた。



「……バカじゃねぇの?」



深月の目つきが変わり、ギラリと怪しげに光る。


今まで見てきた中で、一番怖く感じた。


鼓動が速まって、身体中を巡る血が少し熱くなった。



深月の様子が変わったことに気づいたのは、私だけじゃなかった。


神雷の総長も、気づいていた。



深月は一歩だけ神雷の総長に近づいた。


神雷の総長は、ハッとした。


深月が、笑っていたから。



「信じたって、なんも変わんねぇよ」



深月は不気味な笑みのまま、目にも止まらぬ速さで神雷の総長の顔面を殴った。




「信じて裏切られて、終わりだ」




深月は吐き捨てるようにそう言うと、神雷の総長の顔面をまた殴ろうとした。


だが、神雷の総長は深月の拳をぎりぎりで止め、深月を投げ飛ばした。