深月と神雷の総長を横目に、私は駆け出した。
蜜という人と恭弥という人を相手にして闘っている、司の元へ。
私の行動に、律と雫さんと神雷の二代目総長は驚いていた。
私は、まだわかっていない。
喧嘩を止める術を。
それでも、この状況を変えたかった。
「司……っ!」
「羽留!?」
私は、司の振り上げられた腕を両手でギュッと掴んで、力づくで司の動きを止めた。
もう喧嘩はやめて、と言おうとした瞬間。
神雷の総長のドス黒い声が、私の鼓動と混じって、耳の奥を通った。
「信じてる奴もいねぇお前なんかには、わかんねぇよ」
それは、深月に言ってはいけないタブー。
きっと、神雷の総長はそれをわかって、言った。
その言葉は、深月の心をどれだけ傷つけただろう。



