危険地帯




ただただ、苦しかった。


憎しみしか生まれない喧嘩が。


喧嘩を止めたくても止められなかった、自分の弱くて情けない心が。



今度こそは、と震えている手を握り締めた。




「ほら、やっぱり」



ふと、深月の声が聞こえた。



「お前らも俺らと同じじゃねぇか」



神雷の総長の蹴りを避けた深月は、神雷の総長にそう言い放った。


深月と神雷の総長が闘ってる近くでは。


司が、蜜という人と、先程深月に殴られた恭弥という人を相手に闘っていた。



「無意味だって言ってたくせに、すぐキレて殴ってる」


「……お前にはわからねぇだろうな」


「は?」



神雷の総長は、深月の振り下ろされた拳を受け止め、そう呟いた。


神雷の総長の言葉に、深月は眉をひそめる。