危険地帯




神雷と黒龍は、重ならない“正義”のせいでかみ合わなくて、今もぶつかっているけれど、本当は同じ。


二つの族が存在しているのは、闇が溢れる危険地帯。


お互い、この世界の住人でしょ?




「それに、安全な場所はここにはないです。守るって言っても、どうやって?今みたいに、また喧嘩になるんじゃないんですか?」


「それは……っ」


「私は、そんなことしてほしくない。喧嘩をしなくて済むのなら、喜んで雫さんのところに行きます。でも、違うんですよね?」




雫さんは私へと伸ばしていた手を、ゆっくりと下ろした。


それが、私の問いかけの答えだった。



ここにいる人達の中で私だけが、喧嘩を否定してるように感じた。


この人達にとって、闘いが全てなの……?


仲間を傷つけたら、たったそれだけのことで闘いが始まってしまうの?


許し合う気持ちなんて、欠片もないの?



私が、間違ってるの?