危険地帯




恐る恐る顔を上げると、雫さんの私を心配している表情が視界に映った。


ズキン、と胸が痛む。



「羽留ちゃん、こっちに来て。私と一緒にいれば、安全だから」


「羽留がそっちに行くわけないじゃ~ん」



私に手を差し伸べる雫さん。


けれど、私が雫さんの手にすがることはなかった。


首を横に振る私に、雫さんは傷ついた顔をする。



「ほらね~」


「羽留ちゃん、どうして!?黒龍に脅されてるなら、私が羽留ちゃんを守ってあげる。だから、こっちに来て」


「僕らと羽留は運命共同体なんだから、離れるわけないよ」



律に負けず、雫さんは熱心に私に声をかけた。



「黒龍なんかと一緒にいたらダメよ!」



耳がピクリと動いた。


……黒龍、なんか?