危険地帯




……あぁ、まただ。


また、脳裏を流れてく。


嫌な記憶が、過去の残像が。



喧嘩をして、叫んで、何かが壊れて。


それらを拒むようにうずくまって、ボロボロと涙を流していた幼い私。



こんなの、嫌だ。


誰か、誰か。


私の思いを、聞いて。




「羽留ちゃん、そこにいたら危ないよ……!」


「っ、」



雫さんの声が倉庫に響いて、ハッ、と記憶の渦から逃れた。



「ちょっと~!危ないってどういう意味~?」



俯いている私の前に、まるで盾になるように立つ律。


いつの間にか、雫さんと神雷の二代目総長が、私と律の目の前まで来ていた。