深月は、神雷の総長に一歩近づいた。



「仲間が傷つけられても、まだ無意味か?」


「てめぇ……」



不敵に笑う深月に、神雷の総長はグッと拳を握り締める。


神雷の総長は深月の方へ走り、深月の顔面を思い切り殴った。


その衝撃に、深月は倒れそうになったが、なんとか踏ん張って堪えた。



「いいねぇ」



切れた唇から流れる血を舐める深月。


深月は地を蹴って、神雷の総長に拳を振り上げた。



そして始まった、黒龍と神雷の喧嘩。



反響するせいで、そこら中から聞こえてくる、殺伐とした音。


血がポタリと落ち、汗が流れ、殺気で満ちて、傷つけ合って。



何もかもが、残酷で醜い世界に見えた。