時間は過ぎて、時計が午後11時を知らせた頃。
階段から誰かが、トン、トン、とゆっくり下りてくる音が聞こえてきた。
「あ、おっかえり~」
「遅かったな」
地下にやってきたのは、警察に捕まったはずの深月だった。
「つっかれた。あのおっさん、グダグダうっさかったわー」
肩を回しながら息を吐いた深月は、チラッと私を見て「なんか飲み物ちょうだい」と言ってきた。
「羽留に命令していいのは僕だけだから!!」
という律の声が聞こえてきたが、冗談だと思って、無視することにした。
「俺さ、最初は一応否定してたんだけど、めんどくなって無視し続けたら、こんな時間になっちまってたわ」
ソファに深く座った深月は、グッと腕を天井へと伸ばしながらそう愚痴った。
司は隣に座った深月を横目に、興味なさげに適当に相槌を打つ。



