「俺はクスリなんてやってねぇし、売ってもねぇよ」
深月の凛とした薄い黒の瞳が言っている。嘘はついていない、と。
でも、警察の人達にはその言葉が伝わらなかったようで、黒髪の男はグッとさらに強く深月の髪を引っ張った。
「それなら、どうして黒龍の連中がクスリを使ってたんだ?」
なに、それ。
黒龍の人達がクスリを使っているからって、黒龍の総長を疑うの?
深月は何もしてないって言っているのに。
「さあな。クスリを使う奴のことなんか、わかんねぇよ」
「しらばっくれるな」
「あ、そうだ。なあ、俺がクスリ売ってるって情報流した奴って、誰?」
「教えるわけないだろ!」
深月が、それ以上口を開くことはなかった。
なんでもいいから、もっと否定すればいいのに。
違うと、関係ないと、言えばいいのに。



