危険地帯




それは嘘ともとれる言葉だが、深月と司は直感で真実だとわかった。



「まじかよ」


「本当に何があったんだ」



驚きを通り越して、もはや真顔になる二人。


どことなく、二人の顔が引きつっているように見えた。


律は、抱きしめていた腕を緩めて、なぜか私の耳を塞ぐと、二人に視線を向けた。




「――羽留に触ったら、容赦しないよ」




しっかりと研いだナイフのようなその真っ直ぐな律の声に、二人は思わず一歩退く。


何も聞こえない私は、首を傾げる。


律はなんて言ったんだろう。



「律ってただのチャラ男かと思ったら違ったんだな……」


「まさか律がこんな風になるとは思わなかった……」



深月と司が影でそんな会話をしていたことを、私は知らない。