今、唇に何が当たったんだろう。
風?いや、そんなのじゃない。
もっと温かくて、柔らかくて……。
「羽留、これからデートしようよ」
「えっ!?」
さっきの出来事について考えていた私の手を握った律が、突然そんなことを言い出した。
で、デート!?
なんで!?
「あの、えっと、私、女だよ……?」
一応、言っておきますが。
律の嫌いな女ですよ?
それなのに、デートしたいなんて、変じゃない?
「僕、羽留のこと好きになっちゃったみたい~」
私の手を引きながら外に行こうとする律が言った言葉を、数秒遅れて理解した。



