心臓が激しく、軋めくように、鼓動を打つ。
「そういえば」
律はソファの背もたれに寄りかかりながら、チョコプリンを一口食べて呟いた。
こ刻めに震えている私の唇が、少し乾く。
「どうして羽留は、僕が女嫌いだって思ったの~?」
興味本位に聞いてきた律に、私は俯きながら、
「目が、笑ってなかったから……」
と言った小さな声が、静かなこの場所によく響いた。
一度足元に落とした視線を律に移すと、律は珍しく驚いた顔をしていた。
「案外、鋭いんだね」
臆病な私の心にナイフを突き立てるような、律の殺気を感じる。
けれど、その殺気はどこか脆くて辛そうだった。