もういっそ、答えてしまったほうが楽なのかもしれない。
けれど、口を開いても声が出なくて。
アイツが、言ってはいけない、と声を止めているような気がした。
「い、やだ」
振り絞って出した声は、とてもか細いものだった。
もしも、今、真夜中零時になってアイツが現れたら、アイツはどう答えていたんだろう。
捨てる派?捨てられる派?それとも、何も答えないのだろうか。
そこまで考えて、考えるのをやめた。
……本当は、わかってる。
「答えたくない」
「ふーん、そっか」
「……っ」
「じゃあいいや~」
律の口調が、元に戻った。
諦めが早くて助かった。
苦しがっていた喉で、難しく感じていた呼吸を繰り返す。



