脳裏をかすめた過去の記憶が連れてきた“声”と、重なる。
律の声と、それから、
「捨てられる派?」
『――あんたなんて、』
残酷なほどはっきりと聞こえた、私を捨てた声。
捨てる派か捨てられる派か、きっとその答えは前からわかっていた。
「ねぇ、羽留」
律がもう一度私を呼ぶ。
それと同時に、私の人差し指に絡まっていた律の指が、あっけないくらいあっさりと放された。
繋がっていたものが全て、儚く消えた。
「教えてよ」
怖いのに、逃げたいとは思わない。
律から目が逸らせない。
どうしても、言いたくなかった。
認めたくない、明確な答えを。



