律の冷たい瞳に、ゾクッとして震える。


ずっと、感じていた。


深月や司とは違う、私に対する、そのグレーの瞳の嫌なオーラを。




「僕と一緒で捨てちゃう派?」




弄ぶような、溶けてしまうような、そんな律の声。


まるで蝶のようで、激しい雨のようで。


私には、どうしても淋しそうに聞こえるんだ。



律は私の小指、薬指、中指を順々に放していき、人差し指をつまんだ。


律の長い指が、私の人差し指だけに絡まる。



「それとも」



艶やかなその指と、ミステリアスな声と、ナイフのような目が、私を容赦なく鷲掴む。


……何か、言わないと。


そう思うのに、声が喉につっかえて出ない。