律の射るような眼差しを向けられる。
口調とは正反対のその視線に、グ、と唇を噛み締めた。
律が指で私の顎ラインをなぞり、私を誘惑する。
「傷つく」という答えを待ちわびているように。
「わからない」
「わからない?なんで~?」
誰だって、誰かに「嫌い」と言われれば傷つくだろう。
だけど、私は自分自身が嫌いだからわからないんだ。
嫌いという負の感情が、当たり前のように存在しているから。
「……」
「黙らないでよ~。つまんないなあ」
なんで、と聞かれても答えられなかった。
いや、答えたくなかったんだ。
こんな惨めなことを、言いたくなかった。



