危険地帯




痛む額を抑える私を置いて、深月はスタスタと先を歩く。



「お礼言われて、照れてるんだよ~」


「え?」


「多分だけどね~」



コソッと教えてくれた律。


深月をよく見ると、ピアスがじゃらじゃらと付いている耳がほんの少し赤くなっていた。



「本当だ……」



意外だなぁ。


お礼を言っただけなのに、くすぐったくなって照れちゃうんだ。


朝、ぶっきらぼうだったのも、恥じらっていただけ?


ふふっ、可愛いな。



…………ん?可愛い?


怖い、じゃなくて、可愛い?


黒龍の人間を可愛いと思う日が来るとは……。



いい方向に変化していることが証明されたように感じた。


確実に、私と黒龍が出会った時よりも。