羽留は、ふわりと朗らかに微笑んだ。
誰かの笑顔を見て、嬉しそうになる羽留に、また笑みがこぼれた。
それを言うなら、俺だって。
お前の笑顔を、初めて見た。
お前は、そんな風に笑うんだな。
「そろそろ食器洗ってくるか」
「あ、待って」
ソファから立ち上がり、4つの器を重ねて持っていこうとすると。
羽留が俺を呼び止める声が耳に届いて、振り返る。
「は、話してくれてありがとう!」
羽留は頭まで下げて、礼を言ってきた。
礼儀正しいな、と呑気に思いながら、「別に」とだけ呟いてキッチンへ向かった。
たまには、感謝されるのも悪くないな。



