俺はじいちゃんと約束を交わした。
全てを捨てた俺は、一つの約束に込められた優しさを受け止めた。
髪を染めたり、耳に穴を空けたりしたら、両親の観察眼ならバレてしまう可能性があった。
――この約束だけは、守らなければいけない。
傷つかないための、自分を守るための、たった一つの約束なのだから。
「司って、優しいね」
「……は?」
羽留の言葉に、目を見開いた。
優しい?俺が?
聞き間違い、ではないよな?
「優しくなんかない」
「優しいよ」
俺が否定すると、羽留がもう一度強く言ってきた。
今の話で、どこに優しさを感じるんだ?



