じいちゃんに引き取られた俺は、間違った真実で溢れかえる“表”の世界に、嫌気がさしていた。
深月と共に闇の世界で生きようと決心した俺に、
『両親と顔を会わせる夏休みの一日だけは、不良を辞めることを約束しろ』
と、じいちゃんが言った。
じいちゃんは、家族の中で唯一、最低最悪な日のことを全て聞いても、俺を信じてくれた。
そんなじいちゃんの言葉を、拒むことはできなかった。
その約束は、じいちゃんの精一杯の優しさだった。
じいちゃんは、厳しい両親をうまく騙すにはその日だけは不良を辞めるしかない、と考えたのだろう。
何も信用できなくなって、俺のせいで両親が離婚して、心に負ってしまった深い深い傷。
いつ消えるのかわからないその傷を、これ以上深くえぐることのないように。
俺が不良になったことを知って、両親がまた責任のなすりつけ合いをすることがないように。
俺のことを思って、じいちゃんは約束を交わすように言ったんだ。



