恐怖と寂しさに負けず、律の手当てを終えた私は、司の手当てを始めた。
二の腕から血が溢れているが、そこまで重傷ではなさそうだ。
「そういえば」
司が口を開くと、漂っていた空気が変わった。
深月は頬杖をつきながら、
「あぁ、そうか。夏休みだもんな」
と、意味不明なことを呟いていた。
夏休みだから、何……?
「――俺、黒龍抜けるから」
それは、唐突な宣言だった。
静寂な雰囲気の中、堂々とそう言った司に、驚いたのは私だけ。
なぜか、深月と律は驚いていなかった。
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