三人の視線が、私に集まる。
こ、怖い……けど。
震える唇を、動かした。
「救急箱って、ありま、す……か?」
だんだんと声が小さくなってしまったが、ちゃんと言えた。
私にしては、大した進歩だ。
「どっか怪我したのか?」
「わ、私じゃなくて……」
「救急箱なら、キッチンの棚の上の奥だよ~」
司の質問に答えようとしたけど、律の声によって消されてしまった。
私は急いでキッチンに行って救急箱を探した。
救急箱は、棚の上の奥の奥の奥にあって、ホコリがかぶっていた。
滅多に救急箱を使っていないらしい。
……確かに、黒龍の人が救急箱を使うイメージないなぁ。



