「ちゃんとよく考えてみてよ~」
「は?」
「おかしいでしょ?僕達が負けるなんてさ」
ペロッと舌を出しながらそう言った律に、龍司という人はハッと目を見開いた。
それって、どういう意味……?
「ま、まさか……っ」
「やっとわかった?」
龍司という人は真実がわかったのか、声を震わせた。
律はグレーの瞳を三日月型にして、龍司という人をあざけるように見つめる。
小さく「ははっ」と笑みをこぼした律は、
「楽しかった~?勝った気分を味わえて」
上から目線な口調で、透き通るような声で、龍司という人に囁いた。
龍司という人は歯を食いしばり、自分の拳を強く握りしめる。
「くそっ、やられた……!」
「そろそろ起きろよ、深月」
悔しそうな表情をする龍司という人を横目に、司は倒れた深月に声をかけた。



