「ありがと、雫【シズク】。それじゃあ、メレンゲを泡立ててくれる?」
「わかった」
雫さんっていうんだ……。
博さんの彼女かな?
すると、私に気づいた雫さんと目が合った。
「……もしかして、羽留ちゃん?」
「え、あ、はい」
雫さんはメレンゲを泡立てながらそう聞いてきて、私は雫さんのキラキラオーラに圧倒されつつ頷いた。
なんで私のことを知っているんだろう。
私が考えていることがわかったのか、雫さんはふわりと花が咲いたように微笑むと、
「博から聞いてたんだ。このカフェの常連さんの羽留ちゃんのこと」
と柔らかな声で言った。
そうだったんだ……。
「私、雫っていうの。よろしくね、羽留ちゃん」
「は、はい。よろしくお願いします」



