「二週間くらい前に、偶然雅人と食事しているところに、恵梨と出くわしたんです。 二人の視線が絡まるのを見てたら『あぁ、またか』って思っちゃって。 それから、なんだかんだ理由をつけて雅人に会うのを……避けてました。 無理矢理仕事に没頭して」 私は、レストランでのいきさつを、ゆっくりと説明した。 あの場面が、頭の中で鮮明に思い出される。 二本目の煙草に火をつけた麗子さんは フーっと煙を吐き出すと「それで」と続きを促した。