「あぁ、ずっと見られてたんですね。恵梨には内緒にしておいてもらえません?ちょっと、出来心っつーか、別にこの後彼女とどうこうしようって訳でもなかったし、ただちょっと話を聞いて欲しい、って言われただけなんで」 そう言って、彼はニカッと人懐っこそうに笑った。 目の前の男の、あまりにあっけらかんとした様子に、怒りを通り越して呆れるばかりだ。 我が妹ながら、つくづく男も見る目がない。 人のことは言えないのだけど……