がやがやと五月蝿い教室に、チャトウゴン(後藤先生)が入ってきた。

ぼさぼさの少し白髪が入った髪。眼鏡が大きくズレている。

「あー…じゃあ朝のホームルームの前に、転校生を紹介する……入りなさい。」

チャトウゴンの小さなぼそぼその声を最後まで聞くことなく、クラス全員が立ち上がって歓声を上げていた。

だって、転校生なんてめったに来ないもんね。そりゃ興奮するよ。

それに……ゆっくりと教室に入ってきたのは、今朝のあの美しい男の人。

五月蝿かった歓声がピタリと止んだ。

雪のように白い肌。

美しい金色の髪。

透き通る様な青色の目。

少し眠そうな瞼。

後ろ姿だけでは分からなかった、すべてが綺麗で美しい。

「……神代…遼希…です。」

彼はゆっくりと言葉を発した。

おっとりした喋り方。

低すぎもせず、高すぎもしない声。

まるで、”人間ではないかのような”…美しい男の人だった。

「じゃあ……そうだな。神代。向葵の隣の席に行きなさい…。」

先生に名前を呼ばれ、「ふぁいっ」と変な声を漏らしてしまった。

周りから変な目で見られるけど、構うもんかー!

彼は、何も言わずに私の隣の席に座った。

「わっ、私、向葵…よろしくね」

ぎこちなく名前を言うと、彼はふっとこちらを見て笑った。

「……よろしく」

そう言って彼は机に顔を伏せた。